溝ノ口駅を降り、街道沿いのどちらかといえば殺風景な
街並みを行くと、突如現る近未来的な校舎。
そして洗足学園OGによる弦楽四十奏から始まる説明会。
この、殺風景な街並み⇨近未来的校舎⇨アカデミックな
調べと、ギャップを活かした巧みな演出に、知らず知ら
ずのうちに引き込まれる保護者・児童は多いと思います。
洗足学園は1924年に産声をあげ、現在は幼稚園から大学
まである総合学園になっていますが、中高は大学進学を
目指す受験校です。キリスト教の学校ではないのですが、
設立者がクリスチャンだったため、学校運営にキリスト
教の精神が反映されています。
「授業」「自治活動」「学外活動」を教育の三本柱とし
ています。
「授業」は当初文系・理系のコース分けを行っていまし
たが、現在は撤廃され全員が5教科を受講するようにな
っています。
「自治活動」を促進するために、体育祭等の学校行事は
すべて生徒主体で行われ、先生はじっと我慢をして口を
出さずサポートするようにしています。
模擬国連に代表される「学外活動」は洗足独特のコンテ
ンツで、今は他校にも呼びかけて運営されています。
もともとは受験校としては目立つ存在ではなく、15年
程前まではPLENUSから洗足に合格しても桐蔭、桐光、
香蘭、東京純心等に入学していました。
前校長の前田先生が着任してから様々な校内改革を行
うとともに広報活動にも力を入れ、大学進学実績や評
判を高めていきました。
かつての洗足の説明会では、受験指導のことを強調し
て説明していましたが、受験校として確かな実績と評
判を得た現在は、あえて受験指導のことは少なめにし
て、キャリアデザインを養う総合学習等にウェイトを
置いた内容になっていました。
実際に、これから受験校としての価値を高めていこう
という「発展途上」の学校は受験指導や流行りのICT、
ALに重点を置いた説明をし、すでに「難関校」として
の立場を確保している学校は、理想とする学校の姿等
を語る傾向がありますね。
昨年、日能研が、偏差値をフェリスより洗足を1ポイ
ント高く設定したのが中学受験界で話題になりました
が、2018年の中学入試では、神奈川県の女子校が軒並
み応募者を減らす中、2月1日に前年に比べて71名多
く受験生を集めました。
ただ同校の分析によれば、神奈川県からの応募者は横
ばいで都内からの出願が増えたとのことで、神奈川県
と東京の境界にある立地も影響しているでしょう。
入試は帰国入試が1月に、一般入試が2月1日・2日
・5日に行われます。
1日・2日は2科・4科選択入試で、大半の難関校が
4科目入試をとる中で、今後もこのスタイルは維持さ
れるそうです。それは受験学習をおそく始めた人にも
対応するためとのことでしたが、学力に余力があって、
受験時には完成度が低くても入学後にのびる要素があ
る児童をとりたいというのがねらいです。
最近の1日の併願校は豊島岡、2日の併願校は従来の
フェリスに加えて女子学院、桜蔭等が目立つようにな
り、鷗友との併願は 減ってきたそうです。ただ、この
発言はライバル校である鷗友を意識してのことかもし
れません。
現在、高2にTさん(同じく高2のSさんはお父さん
の仕事の関係で海外に在住中)、高1にTさん、中3
にIさん、中1にMさんが在籍しています。
今年入学したMさんは当初横浜雙葉が第一志望でした
が、持ち前の努力で成績が伸びてくるとともに、洗足
への憧れがふくらみ、最後は洗足しか頭の中に入って
ないくらいの強い思いで受験し、見事に1日で合格を
得ました。
そのMさんが文化祭のポスターを持ってきてくれまし
た。受験生時代は平気だったのに、最近は8時間寝な
いとダメだなどと言ってました。
校内見学をして在校生の様子を観察しましたが、以前
にも増して、しっかりと学習するタイプの生徒が多い
ように感じました。実際に、洗足は課題が多く、日々
の学習はかなり大変です。ソフトムードな説明会での
印象で同校を選ぶとキツイ6年間になってしまいます。
鷗友、吉祥女子と比較されることが多いですが、人気、
実績ともに確固たる地位を得た同校を目ざす人は、「
あわよくば」という受験ではなく、相応の学力と学習
スタイルを身につけてのぞんでほしいと思います。
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